男の子の主張






樟葉要はクラスの男子の中で一番背が低い。
女子の中でも彼より背の高い者も多く、小動物のように可愛がられている。
といえば、まだ多少は聞こえがいいが、実際は。
(……おもちゃあつかいだよなー……これってさ……)
母親譲りの茶髪は指通りがいいらしく、しょっちゅう誰かに触られている。
そして……、
……だから。
「……なんで三つ編みとかすんだよっ!!」
線が細く、色が白い。可愛い系美人を地でいく彼は、それがコンプレックスでもある。
「だって、かなちゃんかわいーしぃ……」
「うるせぇよっ、かわいくねぇっ」
それでますます女子が可愛いと騒ぐのは解っているのに、ついついムキになって言い返してしまうのが要の悪い癖。
「だってほら、可愛いってば」
目の前に鏡を差し出され、照れてしまったらそこで彼の抵抗は終わる。
正確には、抵抗しても無駄になる。
紅い顔で俯いた要は、今日もやっぱり女子の玩具にされるのであった。



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