むかしむかし あるところに ひとつのおうこくが ありました。 このくにの おうさまは とてもいいひとだと ひょうばんでした。 このくには おおきな くにでした。 たくさんの えかきがいました。 たくさんの じかきがいました。 ごごを おしゃべりですごす ひともいました。 けしきを ながめているだけの ひともいました。 おうこくでは みんなが なかよしでした。 とても へいわなひびが すぎていました。 けれど あるひ ひとりのえかきが いいました。 おうこくにある おおきなひろばで いいました。 おうさま おうさま おねがいです わたしのえを このおうこくから なくしてほしい みんなは はじめてしりました。 えかきのたくさんのえが おうこくのいろんなところで かってにつかわれていることを。 ほかのえかきが いいました。 おうさま おねがいです わたしのえも みんなのまえから けしてください それから なんにんものえかきがいいました。 わたしのえを つかわないでください ひろばは いっきに どよめきました。 みんなが いっせいに おうさまをみました。 さいしょのえかきが いいました。 どうして じぶんのえを けしてほしいと ねがっては いけないのですか また みんなは ざわめきました。 みんな いっしょうけんめい かんがえました。 ひとりが いいました。 えかきさんの いっていることは ただしいです みんなも いいました。 きもちを わかってほしくて いいました。 おうさまはまちがっています ひとのえを かってにしていいなんて まちがっています けれど おうさまは こういいました。 このくにのものは わたしのもの このくににあるえは わたしのもの おまえのいけんは きくわけにいかない どうしてもなら じぶんで ぜんぶ もっていきなさい えかきは こまりました。 でも いわれたとおりにしました。 だって それしかなかったのでした。 これをみていたみんなは かなしみました。 だってみんなは しんじていたのでした。 おうさまは みんなのことばを きいてくれると しんじていたのでした……。 |